

22、23の土日に、マテーラの南にあるモンテスカリオーゾという町で、有機農業についての会議がありました。
会場はモンテスカリオーゾのサン・ミケーレ・アルカンジェロ大修道院(Abbazia San Michele Arcangelo)で、試食や展示即売などもあり、賑やかだったようです。
私は催しを締めくくる最後の会議から参加したので、残念ながらそれらを見ることはできなかったのですが。
蛇足ですが、イタリア語で、conventoやmonasteroやabbaziaは、辞書で見るとどれも修道院と書かれています。
いつだったか、abbaziaはサン・ベネディクト(サン・ベネデット)派(?)の修道院で、conventoはサン・フランチェスコ派(?)のそれだと聞いたことがあります。

1時間遅れて始まった会議は(同席者は皆「南イタリア時間だからしょうがないよ〜」と言ってました。誰もイライラしないし、怒ったりもしません)盛況で、入れ替わり立ち替わり、たくさんの生産者などがビデオやスライドを使いながら、話しをしていました。
この日の主役は畜産だったので、劣悪な環境下で飼育されていたり、また、輸送のトラックの中の気温が高くなり過ぎて倒れて行く家畜の様子が写されたフィルムも上映されました。
会議は2時間みっちり続き、知り合いの説明なしには、演者が何を喋っているのかさっぱりわからないまま、最後は走り回る子どもを見つつ時間を潰すというような状態でした。
会議の行なわれた大広間は、昔ここが修道院だった頃、修道士の食堂でした。
第二次大戦後、フレスコ画の描かれた壁を取り払い、大きな広間とし、映画館として使っていたそうです。
2007年にもこの修道院に来たことがありますが、その時より修復作業は進んでいるように見えました。あまり感じのいい修復の仕方ではないです。
会議が終了したのはもう夜の10時。さあこれで帰れるかなと思いきや、同行の2人に、修道院の外の庭みたいなところに連れて行かれました。
モンテスカリオーゾは海抜365mの山の上にある町です。大修道院はその端にあります。
こんな感じです。


そしてすぐその先は急に低くなって畑が続きます。

ともかく、言われるままにいい匂いのする方について行ってみると、先ほどの会議室の下の部屋、というか大きな倉庫のような場所で、宴会の準備が行なわれていました。
建物の前には大きなテラスがあり、昼間だとすばらしい眺望が開けているだろうなと思われますが、辺りはすっかり真っ暗で遠くの灯しか見えません。
灯がたくさん集まっているのはターラントの町だそうで、意外と近いなと思いました。
倉庫のような所では、昔の農機具の展示も行なわれていました。

実は宴会ではなく、地元の料理の試食会のようなものらしいです。

出された料理は羊の煮込みで、ペーコラ・アッラ・パストラーレという料理だと思います。
羊の羊飼い風煮込みとでも言うのでしょうか、丸ごとの羊をぶつ切りにして、水、セロリ、にんじん、塩で4-5時間煮込みます。脂肪分の多い料理だそうです。

前々から話しだけは聞いていたのですが、今回初めて食べることができました。
回りの皆さんは、大いに喋って飲みながら余裕でお皿を空けていきます。
私はそれを尻目に、骨やら筋やら全部一緒に煮込まれているので、どこを食べていいのかよくわからず、食べるというよりも肉や骨の固まりと格闘するというような感じでした。
調理担当の数人の女性が私の隣にちょこっと座り、静かに食べていましたが、格闘の途中でふと彼女らの皿に目をやると、肉や筋をそぎ落とした後、水で洗ったのではないかと言うような美しい骨だけが、食事が終った証拠として皿の上に載っています。
私の皿の上の混乱状態と比べると、同じものを食べたとはとても思えない光景でした。
あとで、マテーラの友人にそのことを話すと、笑いながら「そういう料理を食べるのに慣れてるのよ〜」と言ってました。
メインの羊の煮込みと共に、地元の赤ワインとマテーラのパン(ここはモンテスカリオーゾなので、モンテスカリオーゾのパンと言うのかもしれませんが)がふるまわれました。
地元のパンは相変わらず堂々と厳めしく、その迫力は石の壁にも勝るほどです。

どれもとてもおいしかったですが、このパンも一生懸命噛まないといけないものなので、食事っていい運動になるなと思った晩餐でした。

料理を担当された方々、会議の企画運営をされた方々です。
手前の女性のお皿がちゃんと写ってたら、見事な骨が見れたのですが、残念!

モンテスカリオーゾの新市街から旧市街に入って行く所にある広場も、工事が終ってきれいになっていました。
そこにたむろしてるのはおっちゃんばっかりというのは変わっていませんでしたが。